調停

実績・解決例

調停申立て件数

JCAAが調停規則を導入した2003年から2021年の間で、81件の申立てを受理し、そのうち8件は、外国企業と日本企業との紛争です。

紛争金額

請求金額が特定されている事件のうち、1000万円未満の事件は75%に及びます。一方、10億円を超える事件も取り扱っており、最も大規模な紛争は1000億円を超えます。

紛争類型

売買契約・請負契約違反に基づく損害賠償や未払い代金が問題となる事例から、販売店契約の解消を巡るトラブル、合弁会社の今後の運営方針についての話し合い、さらに、大規模な建設プロジェクトが関わる紛争も取り扱っております。また、契約内容の再交渉を求める事例もあります。

JCAA調停による解決例

JCAA調停を選択したことにより、紛争が、当事者の納得のいく形で、極めて短期に解決した例を紹介します。

JCAAに申立てのあった調停事件を題材にしていますが、守秘義務の関係上、事案は単純化し、また、具体的な数字等は変えています。

事例1国内調停
トラブルの概要
  • A社は長年取引関係のあるB社に対して、衣料品を発注した。
  • B社は衣料品を納入し、代金1500万円をA社に請求したが、A社からは代金の支払いがなかった。
  • B社は、A社が一括して代金を支払うことができない財務状態なのではないかと考えていたが、一部でも支払って欲しいと強く望んでいた。
訴訟を選択すると・・・

B社の請求が認められる可能性は高いが、A社に支払うだけの資力はない。また、A社は財務状況が公になることを恐れて、正確な情報をB社に伝えづらい。

JCAA調停を選択

JCAAが選任した調停人は、A社から個別に財務状態について丁寧に確認しつつ、1日かけて支払い条件について調整した。

その結果、和解が成立。A社はB社に対し、700万円を5年かけて分割して支払うことを約束した。

事例2国際調停
トラブルの概要
  • 日系メーカーがアジア系部品メーカーに対し、家電製品に組み込む部品の製造を委託。
  • アジア系部品メーカーは指定された1000個の部品を日本企業に納入したが、日系メーカーが完成品を製造する段階で、当該部品を組み込んだ家電製品が正常に機能しないことが判明。
  • 日系メーカーは、検査の結果、アジア系メーカーが製造した部品に欠陥があったと主張。
  • 一方、アジア系部品メーカーは、一部の部品については欠陥を認めるものの、残りの部品については品質上問題がないにもかかわらず、日系メーカーが一律に自社に責任を押し付けようとしているのではないかと考えていた。
  • 日系メーカーとアジア系部品メーカーは本製造委託以外でも取引関係がある
訴訟を選択すると・・・

1つ1つの部品について欠陥があったかどうかを、膨大な時間と費用をかけて、証拠に基づき確定をする必要がある。

JCAA調停を選択

JCAAが選任した調停人は、日本企業側との個別協議は日本語で行い、外国企業側との個別協議は英語で行いながら当事者双方の不信感を解消。2日かけてアジア系部品メーカーが負担する金額について調整を行った。

その結果、和解が成立。アジア系部品メーカーが日系メーカーに約5000万円を支払うことを約束した。さらに、今後の部品の納品・検査手順に関し、きめ細やかに合意した。